校長挨拶
本校は、明治37(1904)年4月、日和山の麓にある「聴松館」を校舎とした私立石巻女学校を前身とし、明治44(1911)年9月、石巻町立実科高等女学校として創立しました。昭和23(1948)年の学制改革により、宮城県石巻女子高等学校として開校し、その間、二度の校地移転を経て、平成18(2006)年の男女共学化により、現在の宮城県石巻好文館高等学校と校名を変更して、今年創立114年を誇る県内屈指の伝統校です。旧制高等女学校からの卒業生は2万6千人を超え、国内はもとより、海外でも「甲斐ある人」として様々な分野で活躍しています。
本校では、校訓の「自発能動」「一事貫行」「醇朴成徳」を礎に学習活動や特別活動などを展開し、生徒たちは、自分の長所や得意分野を掘り起こしながら、多様な視点や豊かな感性、そして深い知性などを養い、主体性、自律性、協働性など豊かな人間性を育んでいます。また、校歌に由来する校是「甲斐ある人と言はれなむ」は、生徒のみならず、同窓生の精神的支柱となっています。
本校の特色は、三つあります。まず、次代を担う生徒たちの多様なニーズに応える石巻地区唯一の「進学重視型単位制」であること。クラスの設定など学年制のよさはそのままに、1年次から少人数制授業を展開して基礎教科の充実を図るなど、個に応じたきめ細かい指導支援を行っています。3年次でも、少人数制授業は維持され、自分の進路目標に応じて科目を選択し「自分だけの時間割」で取り組むことが可能です。
二つ目に、「甲斐ある人といわれたいむ(通称「甲斐たいむ」)」と称した総合的な探究の時間を全校をあげて取り組んでいること。社会に生きて貢献するための8つの力を掲げ、年次段階に応じて、SDGs研究、分野別課題研究、自己実現研究の3段階で研究を進めていきます。1年次ではSDGsを入口に知の扉を開け、2年次では外部の専門家の方々から指導助言をいただきさらなる研究の扉を開き、3年次には二年間の成果を課題研究論文にまとめて自己実現へとつなげています。
最後、三つ目は、特別活動が盛んであること。文化祭や体育祭といった学校行事と生徒会活動や委員会活動では、生徒一人ひとりが主体性をもって役割を果たしながら積極的に取り組んでいます。また、部活動は、現在、12の運動部と8つの文化部、そして同好会は6団体があり、団体目標と個人目標達成のために日々熱心に取り組んでいます。過去には、運動部が単独チームとして国民体育大会(現、国スポ)に出場したり、卒業生が日本代表としてローマオリンピックへ出場したり、男女共学化前後も同様に、運動部、文化部問わず、全国大会出場や出品披露するなど高いレベルでの成果を記録にみることができます。また、文化部を中心に、県内で行われる各種イベントへの出演依頼も多数あり、幅広く地域振興活動にも貢献しています。
この教育活動を支える本校の教職員集団は、生徒の様々な希望や活動に応える豊かな人間性と高い専門性、そして優れた能力を持ち寄って組織されるスペシャリストの集合体であり、魅力と強みであふれています。すべての教育活動では、「好文好武で 明日を拓き 夢実現へ」をキャッチフレーズに、生徒一人ひとりをとことん支援する体制を整えています。
むすびに。本校は、東日本大震災の被災地にある高校として、引き続き、防災教育の充実を図り、学んだ知識の活用機会の創出や身に付けたい能力や技術などを何度でも試行錯誤できる環境を整え、すべての生徒が、長所や得意分野に磨きをかけ、甲斐ある人として社会貢献できる人材を育成することが本校の努めと考えております。
今後とも、県民の皆様及び同窓生の皆様の相変わらぬ御支援と御協力をお願い申し上げます。
令和7年4月 宮城県石巻好文館高等学校 校長 及 川 徹